なぜ出張精算は面倒なのか?インボイス等への対応と効率化の進め方

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なぜ出張精算はこれほど面倒なのか?インボイス・電帳法対応による負担を劇的に減らす効率化の進め方

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なぜ出張精算はこれほど面倒なのか?インボイス・電帳法対応による負担を劇的に減らす効率化の進め方

出張精算は、出張者の「自腹立替や手動入力」と、経理の「インボイス・電帳法対応による目視確認」の双方が絡み合う、非常に負担の大きい業務です。

効率化のために「経費精算システム(SaaS)」を導入する企業は多いですが、実はシステムを入れるだけでは、領収書をチェック・入力する手間の「根本原因」は解消されません。

本記事では、出張精算が面倒になる理由を法改正(インボイス・電帳法)の影響を踏まえて整理し、経費精算システムに頼らずに、精算業務そのものを根本から削減する「最もスマートな効率化の手法」を解説します。

 

この記事の要点(3行要約)

  • 出張精算の負担の本質: 出張者の「自腹立替・手動入力」と、経理の「インボイス・電帳法に伴う目視確認」という、人と書類の往復にあります。
  • 精算システムの盲点: 経費精算システム(SaaS)は「申請の手続き」を電子化するだけであり、領収書のチェックや入力の手間そのものをゼロにはできません。
  • 根本的な解決策: 出張の手配と精算を一元化(法人一括請求)し、そもそも「出張精算という業務自体を無くす」アプローチが最も効果的です。

 

目次

  1. 【出張者目線】出張精算の何がそんなに「面倒」なのか?
  2. 法改正(インボイス・電帳法)がもたらした、経理担当者の新たな業務負担とは?
  3. 【盲点】経費精算システム(SaaS)を入れても「手間の根本」は消えない?
  4. 【もう一つの盲点】法人カードの支給でも「経理のチェック工数とコスト」が消えない理由
  5. システムやカードを導入しても「個別手配」を残す限り防げないコンプライアンスリスク
  6. 出張管理の「工数削減」と「ガバナンス強化」に貢献するBTM(出張管理システム)のメリット
  7. まとめ:システムやカードの「先」にある出張手配の一元化へ

 

【出張者目線】出張精算の何がそんなに「面倒」なのか?

電卓で経費を計算する手元

日常業務や営業活動で忙しい出張者(現場社員)にとって、出張に伴う一連の精算手続きは大きな心理的・時間的負担となっています。現場から不満が上がりやすい具体的な理由は以下の2点です。

 

1. 高額な「自腹の立替」という心理的・金銭的負担

新幹線や飛行機、数日間の宿泊代など、一度の出張で発生する費用は数万円から、時には十数万円にのぼることも珍しくありません。
これらを社員が一時的に「各自の自腹で立て替える」ことは、個人の家計にとって決して小さくない金銭的ストレスとなります。「会社の業務なのに、なぜ個人のクレジットカードや現金を使わなければならないのか」という不満や、月をまたいだ際の立替金振込までのタイムラグに対するストレスは、現場のモチベーション低下を招く一因です。

 

2. 帰社後の細かい「手動入力」と領収書管理の手間

出張から戻った社員を待ち受けているのが、経費精算システムやExcelへの手動入力です。
各自が「じゃらん」や「楽天トラベル」などの一般サイトでバラバラに予約している場合、ホテルや交通機関ごとに領収書を発行・管理しなければなりません。

さらに現代のビジネスシーンでは、「紙の領収書」と「メールやWebからダウンロードする電子領収書(PDF)」が混在しています。これらを紛失しないよう保管し、経費精算システム(楽楽精算など)のルールに沿って、日付・金額・取引先を1件ずつ手入力で申請する作業は、本来の営業活動の時間を奪う非常に面倒な事務負担となっています。

 

法改正(インボイス・電帳法)がもたらした、経理担当者の新たな業務負担とは?

出張者側の「面倒」の裏側で、総務や経理などのバックオフィス部門はそれ以上の管理負荷を強いられています。特に近年の法改正以降、チェック業務の手間は格段に増加しています。

 

1. インボイス制度:特例の適用判断と「対象外経費」の目視確認

従業員が立て替える出張旅費には「出張旅費等特例」が適用されるケースが多いものの、経理担当者の確認の手間がなくなるわけではありません。
出張者が持ち帰る領収書の中には、特例の対象となる交通費や宿泊費だけでなく、特例対象外となる「取引先との接待交際費」や「手土産代などの物品購入費」が混在しがちです。これらを1枚ずつ目視で仕分けし、特例対象外の領収書については正しく適格登録番号(T番号)が記載されているかを確認しなければならず、精算方法が統一されていないがゆえに、毎月の大きな負担となっています。

 

2. 電子帳簿保存法:データ保存の厳格化と社員への「注意・教育コスト」

電子帳簿保存法への対応も大きな負担です。じゃらんや楽天トラベル、新幹線のネット予約などで発行される「電子領収書(PDFやスクリーンショット)」は、法律に定められた要件(日付・金額・取引先での検索性など)を満たした形で厳重に保存する必要があります。
しかし、現場の社員がルールを守らずに紙に印刷して提出してきたり、データを紛失したりするケースは絶えません。その都度「データで提出してください」と指導・教育を繰り返す、不毛な社内コミュニケーションコストが発生しています。

 

3. 領収書の未提出・規定違反のチェックと「個別連絡」の負担

出張手配を各自バラバラに行っている以上、月末になっても領収書が揃わない「未提出案件」が必ず発生します。経理担当者は、誰のどの出張の領収書が足りていないのかを把握・管理し、該当する社員へ個別に催促の連絡を入れなければなりません。
これに加え、宿泊費が「社内の出張規定の上限金額を超えていないか」の目視チェック、さらに各自への立替金振込データの手動作成など、手配と精算がバラバラであることによる管理工数の肥大化が大きな課題となっています。

 

 

【盲点】経費精算システム(SaaS)を入れても「手間の根本」は消えない?

出張精算の効率化を考えたとき、真っ先に検討されるのが「楽楽精算」や「コンカー(Concur)」などの経費精算システム(SaaS)の導入です。しかし、これらのシステムを導入しても、期待したほど業務負担が減らないケースが少なくありません。その理由は、システムが解決する領域の限界にあります。

 

1. システム化されるのは「申請手続き」だけで、前後の手作業は残る

経費精算システムが電子化するのは、あくまで社内の「申請・承認の手続き」というワークフローの部分です。
システムを導入したからといって、出張者がじゃらんや楽天トラベルでバラバラに宿泊先を選定・予約する手間は1ミリも減りません。また、出張後に「電子と紙が混在した領収書」を自分で集め、スマートフォンのカメラで撮影したり、PDFをアップロードしたりして、システムに落とし込むという「前処理の手作業」は依然として残ります。高額な自腹立替による現場の金銭的ストレスも、根本的には解決できないのです。

 

2. AI自動チェック機能の「死角」と、最後に残る目視確認

最近の高度な経費精算システムの中には、AIによる不正申請の自動チェックや、領収書のOCR(自動文字読み取り)機能が搭載されているものもあります。確かにこれらは経理の目視確認の負担を一部軽減してくれますが、すべての手間をゼロにするわけではありません。

インボイスの登録番号が不鮮明だったり、AIが「要確認」とフラグを立てたデータについては、最終的に人間の経理担当者が目で見て判断する必要があります。さらに、AIがエラーを検知した後の「社員への差し戻し」や「確認の連絡」といった社内コミュニケーションコストは消えません。どれだけ高度なシステムを入れても、「手配データ」と「精算手続き」がバラバラに存在している限り、確認と運用の手間は回り続けることになります。

 

 

【もう一つの盲点】法人カードの支給でも「経理のチェック工数とコスト」が消えない理由

経費精算システム(SaaS)の導入と並んで、効率化の手段としてよく検討されるのが「法人カード(コーポレートカード)の支給」です。「会社のカードで決済すれば、個人の立替負担もなくなり精算も効率化できる」と考えられがちですが、実務においてはカード運用ならではの盲点が発生します。

 

1. 税法上のルール変更:出張旅費特例が適用外となり、確認工数と「税制上のコスト増」が発生

従業員が自身の現金や個人カードで支払う「立替精算」の場合、インボイス制度においては「出張旅費等特例」が適用されるため、一定の帳簿要件を満たせば仕入税額控除が認められます。
しかし、会社名義の「法人カード」で決済した場合、この特例は適用外となります。会社が直接、宿泊事業者等と取引した扱いになるため、提出されたすべての領収書に適格登録番号(T番号)が正しく記載されているかを経理が個別に確認・管理しなければなりません。

さらに、確認工数が増えるだけでなく財務上のリスクも生じます。出張者が利用した宿泊施設等が「T番号を持たない免税事業者」であった場合、法人カード決済では特例が使えないため、その宿泊費にかかる消費税の仕入税額控除を受けられなくなります。結果として、本来受けるはずだった税制上の優遇を逃し、会社が余計な税負担(実質的なコスト増)を被るリスクが発生するのです。

 

2. 実務上の突合工数:カード明細と大量の領収書を突き合わせる「紐付け作業」の発生

また、クレジットカードの利用明細(WEB明細)だけでは税法上の請求書・領収書の代わりにはならないため、「領収書そのものを回収・保管する作業」自体は残ります。
経理担当者は毎月、カード会社から送付される利用明細データと、社員から提出された個別の領収書を1件ずつ照合する「突合(とつごう)作業」を行わなければなりません。「明細には記載があるものの領収書が未提出である」といったケースの管理や、該当社員への個別の催促業務など、決済手段をカードに変えても経理の手元に残る運用負荷は少なくありません。

 

システムやカードを導入しても「個別手配」を残す限り防げないコンプライアンスリスク

経費精算システムの導入や法人カードの支給によって決済・申請プロセスを整理しても、「従業員が個別に出張手配を行う」という運用自体が残っている場合、統制面での課題は解消されません。

 

1. 領収書の表記では判別できない「金券付きプラン」のリスク

出張手配の選択肢の中には、宿泊費に500円〜2,000円程度のクオカードや商品券等の特典が含まれる「金券付きプラン」が存在します。
しかし、発行される領収書には「宿泊代として」と記載されるケースが一般的です。そのため、提出された領収書を目視で確認するのみでは、その金額が社内規定に沿った適切な宿泊費用なのか、私的な特典を含むものなのかを経理側で判別することは極めて困難です。

 

2. 個人の判断に依存した運用が及ぼすガバナンスへの影響

決済手段や申請フォームのみをデジタル化しても、予約手配の選択を個人の判断に委ねている限り、不透明な支出や社内規定違反を未然に防ぐ仕組みとしては不十分です。

立替の手間や突合工数の削減といった業務効率化と、社内規定遵守の徹底を両立させるためには、決済や申請の段階だけでなく、「予約手配そのものを会社側で一括管理する仕組み」への見直しが必要です。

 

出張管理の「工数削減」と「ガバナンス強化」に貢献するBTM(出張管理システム)のメリット

BTM(出張管理システム)の導入によりパソコンでスムーズに出張管理作業を行うビジネスパーソン

これまで見てきた通り、申請・決済のデジタル化や法人カードの導入を行っても、「従業員が個別に予約手配を行う」という運用が変わらない限り、経理の確認工数やコンプライアンス上のリスクを根本から取り除くことは困難です。

こうした課題に対して、手配プロセスそのものを一元管理する手段となるのが、BTM(Business Travel Management:出張管理システム)の活用です。

 

1. 「手配・決済・請求」の一元化により、立替精算と突合工数を大幅削減

BTMを導入すると、出張者はシステム内に統合された専用ポータルサイトから航空券やホテルを予約します。費用はBTM事業者からの「法人一括請求」に集約されるため、従業員による立替払いが発生しません。
これにより、経理担当者の負担となっていた「カード明細と領収書の突合(紐付け)作業」や「未提出者への個別催促」といった手作業が不要となります。月1回の請求データを確認・処理する運用に一元化できるため、経理の確認工数を大幅に削減できます。

 

2. 制御・アラート機能により、規定外の予約や不透明な支出を抑制

BTMでは、自社の出張旅費規定に合わせた表示制御や予約制限の設定が可能です。
例えば、「金券付きプラン」を検索結果に表示させない設定を行うことで、不正の温床となりやすいプランの選択を未然に防ぐことができます。また、規定の上限金額を超えるプランについては、検索結果からの非表示化やエラーによる予約不可設定、あるいは画面上へのアラート表示によって注意を促すことが可能です。事後に領収書を目視でチェックするのではなく、「予約の段階で不適切な選択が発生しにくい環境」を整えることができます。

 

3. インボイス・電帳法への対応業務を簡素化

BTMでは、データの一括保存により電子帳簿保存法への対応がスムーズになります。
また、予約検索時に「適格事業者(T番号保持者)」のみを絞り込む機能が備わっているため、非適格な宿泊施設が選ばれるリスクを最小化できます。これにより、経理による毎月のT番号全件照会や、仕入税額控除の漏れを防ぐことが可能です。

 

まとめ:システムやカードの「先」にある出張手配の一元化へ

出張管理における「経理の確認工数の増大」や「コンプライアンスリスク」の根本原因は、決済や手続きのツールではなく、「手配(予約)そのものが個人の判断に委ねられている点」にあります。

経費精算システム(SaaS)の導入や法人カードの支給は、申請作業や個人の立替負担を軽減する有用な手段です。しかし、それだけでは「領収書の回収・突合」や「T番号の個別照会」、「規定違反プランの監視」といった経理の実務負荷をゼロにすることはできません。

業務効率化とガバナンス強化を両立させるためには、運用プロセスをさらに一歩進め、「手配・決済・請求データそのものを企業が一括管理する仕組み(BTM)」への移行が効果的な選択肢となります。

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