出張後のそのまま旅行はNG?経費精算をテーマに解説

金曜日まで出張の場合には、会社に戻らずに旅行をして帰りたいという人も多いでしょう。
また、有給休暇を消化する目的からそのまま旅行を続けたいという声も聞かれます。
ただし、出張後にそのまま旅行をする場合、会社は交通費や宿泊費などをどのように支給すれば良いのでしょうか。
この記事では、出張後にそのまま旅行をする場合の考え方について紹介します。
出張後そのまま旅行を続けるブレジャーが人気
海外や外資系の企業では効率的に旅行を楽しむため、出張に休暇を組み合わせるケースが多くみられます。
これは、ビジネス(Business)とレジャー(Leisure)を掛け合わせた「ブレジャー(Bleisur)」と呼ばれる休暇の取り方で、日本でも人気が広がっているといえるでしょう。
アメリカやオーストラリアでは46%、インドでは85%もの労働者がブレジャーによって出張のあとにそのまま旅行を楽しんでいるのです。
日本の場合には金曜までの出張で土日に現地の観光をして帰る人や、平日でも出張後に有給を取得して現地を楽しんで帰るという社員もいるでしょう。
観光地に出張して仕事だけで終わらせてしまうのはもったいないと考える人は多く、会社には戻らずにそのまま旅行をすることでたくさんの経験を積み、その経験を仕事に活かしているのです。
出張後の旅行を許す場合に会社が抱える問題は?
社員が出張後に旅行を続ける場合には、出張費の扱いが問題となるでしょう。
出張時に利用したホテルなどの宿泊費は会社負担が基本となりますが、そのまま旅行を続けた分の宿泊費も会社が支払うとなると、経費がかかりすぎてしまいます。
また、会社からの現地までの往復の移動に新幹線などを利用する場合、帰りの交通費を支給する必要があるのか分からないという会社も多いでしょう。
仕事目的で出張先へと赴き、そのついでに観光をするケースではどうしても私事の費用が発生してしまいます。
そういった仕事に関係ない費用を会社が負担すべきか、また、どの勘定項目に仕訳ける必要があるのかといった経費関連の問題も起こりやすいでしょう。
ブレジャーにおける問題の解決策は
ブレジャーの流行に伴い、2021年以降は出張後にそのまま旅行をする社員が増えることが予想されます。
そのまま旅行に行く社員が増えると、急な問題の解決に迫られることもあるでしょう。
会社側はあらかじめ人事などと協力をして正しいルールを制定し、問題が起こらないように努めることが大切です。
記事のここからは、社員が出張後にそのまま旅行や観光をする場合の解決策を考えていきます。
社員の私的な旅費を会社が精算する必要はない
出張費として会社が社員に支給できるのは業務に必要な費用です。交通費や日当、宿泊費などの出張旅費は経費となり、非課税として扱われます。
一方、業務に必要のない費用は出張旅費として計上できません。出張時にかかる費用は経費ですが、出張後にそのまま旅行した費用は会社が精算する必要がないでしょう。
私的な旅費を精算してしまうと予算がかかりすぎてしまうこともあるのです。
領収書があっても宿泊費は支給しない
出張時に利用したビジネスホテルなどの宿泊費は、会社が後日精算を行うのが一般的です。
しかし、出張後に同じホテルに宿泊し続けた場合でも、仕事ではなくそのまま旅行をするのであれば、その分の宿泊費を支給する必要がありません。
そのまま旅行をする場合の個人的な宿泊費を旅費交通費として計上してしまうと、課税の問題が生じる可能性が高くなるでしょう。
そのまま旅行した分の宿泊費は業務上必要な経費としては考えられませんので、後日精算に対応しないのをおすすめします。
交通費の後日精算は状況に応じて判断を
出張時に必要となる往復の交通費は業務上必要な経費となるため、全額を経費として処理しても問題ありません。
ただし、そのまま旅行を続け、出張先からさらに移動をした場合の交通費は精算する必要がないでしょう。
例えば、東京からの出張先が京都で、出張後に広島に移動したとします。
この場合、東京-京都間の新幹線代は経費としての計上が可能ですが、京都から広島への往復は経費にはなりません。
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出張後に有給でそのまま旅行!労災は適用される?
金曜までの出張で土日に旅行をする場合、旅行日は休日ですので労災の適用にはならないでしょう。
ただ、水曜までの出張で、木曜と金曜に有給休暇を取得してそのまま旅行をした場合には労災が適用になると考える人もみられます。
年次有給休暇は、事業主が労働者に取得させなければならない休日です。
年間に与えられる日数は会社ごとに決められていますが、どの日に有給休暇を取得するかは社員が決められるのが特徴です。
仕事の進捗具合を確認し、上司と相談のうえ有給休暇を取得する日程が決まるのが一般的で、出張と有給休暇を組み合わせても問題はないでしょう。
ただし、有給休暇というのは休日であり、事業主の支配下にあるとは考えられません。
労災は労働中におきた災害に対して補償される制度であり、事業主の指揮命令下にない有給中は対象とはならないのです。
よって、出張後にそのまま旅行する場合は、休日や有休休暇中に関係なく、労災が適応されないと考えましょう。
出張先からそのまま旅行をすると、どこまで労災が適応になるかの判断が非常に難しくなりますので、あらかじめ税理士や労務士などの専門家に相談をしておくのがおすすめです。
そのまま旅行に行く場合は上司に報告が必要
金曜までの出張の場合、会社には戻らずにそのまま旅行をしても問題はないと考える人もいるでしょう。
しかし、本来はビジネス目的で遠方に出向いていますので、社員が上司に報告もなしにそのまま旅行を続けることはマナーに欠けているといえます。
出張は勤務先の業務命令によって行うものであり、労働者は勤務先の指揮命令に従う必要があるでしょう。
仕事が終わったから自由だと考えるのではなく、勤務先に戻るまでが出張だということを意識しなればなりません。
よって、出張先に残りそのまま旅行をしたいという場合には、上司への相談や報告が求められます。
土日にそのまま旅行をするケースでも、上司に報告し了承を得る必要があることを周知しておきましょう。
社員間で不平等を感じる問題にも注意を
出張が多い社員の場合には、そのまま旅行ができる機会が増えます。
ただ、出張の機会が少ない部署で働く労働者は旅行をするチャンスが少ないことから、不平等を感じることもあるでしょう。
就業規則や社内規定により、会社は労働者を平等に扱う必要があります。
よって、出張の多い社員にそのまま旅行をすることを認める場合には、年次休暇とのバランスなども考える必要があるでしょう。
社員の声にはしっかりと耳を傾け、顧問弁護士などとと相談して問題の解決に当たる必要があります。
前もってルールを制定し問題の解決を
出張後の個人的な旅行や観光にかかる費用は業務上に必要なものであると認められないため、経費としての計上ができません。
会社も個人の旅行代金を精算する義務がありませんので、そのまま旅行をした分の交通費や宿泊費を支給しなくてもいいといえます。
今後、出張後にそのまま旅行をするブレジャーが増える可能性が高いことから、会社は前もってルールの制定をしておくのがおすすめです。
どこまでを支給しどこからが個人負担かを税理士や弁護士と相談して決定し、社員間で不公平が出ないように努めましょう。
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この記事を書いた人

エルクトラベル編集部
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出張手配専門旅行会社の株式会社エルク(エルクトラベル)のメディア編集部。
これまで2,300社以上の出張関連業務の効率化を支援してきた実績を活かし、出張者はもとより出張に関わる経理や総務などのバックオフィス部門にも役立つビジネス情報を発信しています。