作成に悩む人におすすめ!ポイントをおさえた上手な出張報告書の書き方

商談や展示会参加、工場見学など、さまざまな目的で出張した際に、出張の目的が達成されたかどうか、出張後には上司・会社に報告する必要があります。報告書として作成・提出を義務付けている企業も多いようですが、この出張報告書の作成に苦労しているという声もよく聞きます。
出張報告書をスムーズに作成するためのポイントはいくつかあります。出張報告書の基本的な構成・作成の目的を理解し、効果的かつスムーズに出張報告書を作成しましょう。 この記事では、出張報告書の書き方、基本的な構成や作成時の注意点について解説します。すぐに使えるテンプレートと、効果的な文例なども紹介します。
出張報告書をスムーズに書ける、ということは出張自体の目的と成果を自分自身の中で把握できていることになります。ではさっそく見ていきましょう。
本記事の内容:出張報告書をスムーズに作成するためのポイントについて ※無料テンプレートあり
目次
出張報告書とは?
出張報告書とは、出張先での業務内容や得られた成果などについて社内に報告するための書類です。出張報告書を作成することで、出張の目的を達成したか、どんな成果が得られたか、今後の課題は何かなど、上司や他の社員と情報共有し、出張の振り返りや今後のアクションに活かすことができます。
出張報告書が果たす役割
効果的な出張報告書を書く上では、その目的や果たす役割を理解することが重要です。ここでは、出張報告書の果たす役割について紹介します。
会社が出張の成果を把握できる
出張報告書は一目でどのような出張であったのかがわかる書類です。どんな内容の商談が行われ、どのような成果が得られたのかを会社や上司に伝える目的で作成します。なぜなら、出張は会社の利益向上や販売促進などのために行われるからです。経費を使って社員を派遣したのに、何の成果も得られないようでは会社の利益につながりません。出張によって会社の損益を生み出さないためにも、会社側は出張報告書の提出を求め、出張先で実際に何をしてきたのかを確認しているのです。
今後の業務に活かせる
出張は業務に関わる全ての社員が行くわけではなく、限られた社員のみが行くものです。そのため、出張で得られた情報や成果・課題は、他の社員にも共有する必要があります。出張報告書を用いて簡潔かつ明確に報告することによって、関係者に情報が共有され、今後の業務に活かすことができるのです。
また、報告書にまとめる過程で、出張の目的とその成果に対して客観的な視点で振り返りができます。たとえ望んだ成果を得られなかったとしても、成果に至らなかった要因や、その出張で感じた反省点を次の出張に活かすといったことも可能です。
出張報告書の基本構成
ここでは、出張報告書の一般的な構成について説明します。
出張報告書の内容は、会社・部署によって多少の差はあるものの、作成の目的は出張の成果・状況を報告するものであるので、多くの会社で類似しています。構成に沿って作成を進めると比較的簡単に作ることが可能です。以下は、基本的な構成です。
- 出張の概要
- 出張時の行動
- 出張で得た成果
- 出張の所感
- 出張経費
出張の概要
出張報告書の冒頭には、出張概要を記載するとよいでしょう。出張の基本的な情報が記入されていれば、提出された報告書を読む上司などが概要を把握しやすくなります。
出張の基本的な事項として
- 出張期間
- 訪問先
- 出張の目的
- 大まかなスケジュール
などを記載します。同行者がいる場合は、その氏名も明記します。
概要部分には詳細な業務内容などを記入する必要はありません。詳細な報告は概要のあとに記載するか、添付書類として資料を添付するのが一般的です。長くならないようにコンパクトにまとめるようにしましょう。また、読む人にとってわかりやすく書くことも意識するとよいでしょう。
出張時の行動
次に、出張期間中の行動を記載します。出張日程中に現地で実行したことを簡潔かつ明確に記載するようにしましょう。詳細な行動を書き入れると長くなりすぎるため、具体的な行動内容は添付資料などを活用するのがおすすめの書き方です。
行動の例としては、行ったことを簡潔に記載します。
- 〇〇の契約を締結
- 来期コンサルティング提案(〇〇の導入について)
- 会社説明会の実施
などと簡潔に記入します。ほかの担当者、ほかの業務との区別がつくような情報を記載しましょう。
例えば、新製品の販売促進について商談を行った場合は、新製品の品名、受注の際の量などまで記入しておくと読む人がわかりやすく感じるでしょう。
出張で得た成果
行動のあとは、出張の成果に関して報告します。出張は何らかの成果を得ることを目的として行われるものです。当然出張者には、その成果を得る一定の役割が課されているといえるでしょう。出張によってどのような成果が得られたのかについて、明確に記載することが重要です。
例えば、「来期〇〇を〇〇(数)の新規契約」「応募者10名からエントリーの申し込みを受け付けた」など、数字で表現できるものは、数字まで入れたほうが成果としてわかりやすくなります。時には思うような成果が得られない場合もあるでしょう。その場合は、結果や状況だけでなく、目的が果たせなかった理由、ネックになった点、相手の意見なども盛り込んでおくとよいでしょう。そうすることで、次へとつながる理想的な出張報告書となるのです。
出張の所感
成果の次は、所感を記載します。上記の成果までは、事実に忠実に記載しますが、担当者として得られた発見や課題などについても、所感としてまとめると、次回出張や営業課題の解決の糸口となります。また、報告書を読む上司なども、出張の様子や課題をより把握しやすくなります。出張報告書の所感を充実させるためにも、出張先で気づいた点がある場合にはメモなどを取っておくとよいでしょう。
出張経費
最後の報告事項として、出張経費について記入します。出張経費については、出張報告書とは別になっている会社もあり、記載欄の有無は企業によって異なります。
会社のフォーマットやテンプレートに出張経費の記入欄がある場合は、宿泊費や交通費、交際費といった費目別に金額を記載するようにしましょう。出張は会社の業務ですので、もちろん出張にかかった支出は会社の経費として取り扱われます。正確に記載することはもちろん、領収書などの別紙の添付なども忘れずに準備しましょう。必要書類を出張中に紛失しないことも注意点の一つです。出張中は支出の都度、スマホなどにメモをとっておく方法も有効でしょう。
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出張報告書で使える例文

出張報告書の作成にあたっては、文例があると作成しやすくなると感じる人も多いでしょう。ここでは、例文をいくつか紹介します。
【行動】の例文
行動部分については、何をしたのかが具体的にわかるように、具体的な情報を盛り込むことがポイントです。
- 新製品〇〇の機能面について競合他社との比較
- 優位点について紹介
- すでに導入いただいている〇〇サービスについて、疑問点と改善点をヒアリング
- 仕入れ先との価格交渉をまとめ、最終的な仕入価格を決定
- 先月のイベントの成果報告と、次回イベントの企画提案
- 店頭POPの提案、成功事例の前例を紹介
などが例文になります。
【成果】の例文
成果の文面は、数字を適切に含めることがポイントになります。
- 来期単価〇円アップで契約更新
- トライアル中の〇〇について改善提案を受諾いただく
- (新商品説明会を行ったことによって)新規顧客を10社開拓
- 来期からの〇〇導入決定
- 〇〇の理由により、新規契約は見送りとなった
など
【所感】の例文
所感の部分が一番作成しにくいと感じている出張者も多いでしょう。
そのような場合は、上記の 「行動」「成果」には事実関係を、この「所感」には自分の感じたことを書く、というように意識すると書きやすくなります。
ポイントとしては、成果に対する理由、今後の課題、数字では表せない情報、出張内容には直接は関係ないが業務に役立つ情報を入手した場合など、出張の中で感じたことをまとめます。
例えば
- 〇〇サービスに対して他社の〇〇のほうが使いやすさの面で優れているという意見をいただいたので、〇〇部と連携し改善計画を立てる必要がある
- 説明会では、海外事業よりも、新製品に対して興味を抱いている参加者が多かったので、次回は時間配分を工夫したほうがよいと感じた
- 予算を理由として契約見送りとなったが、実際はサポート体制にも不満がある様子が見られた
- 〇〇エリアに昨年12月に新規商業施設がオープンしたことにより、人の流れが変わったように感じた。
- タクシーの運転手から、駅前商店街の閉店が相次いでいるという情報を入手した
- 外国籍の参加が増加した。次回から多言語のパンフレットを作成する必要があると感じた
など
出張報告書の作成のポイントは?

出張報告書の書き方とポイントをあらかじめ押さえておくと、素早く作成できます。事前にまとめられる項目を整理しておくことでスムーズに準備が進む場合もあるでしょう。
出張の概要・出張時の行動はあらかじめまとめておく
まず、出張の概要と出張時の行動を整理します。アポイントメントの時間や会議時間、移動時間が分かった段階で、出張中の自分の行動はある程度予測できるはずです。各スケジュール項目に関して実施すべきことをメモしておきます。
出張後は、出張予定と実際の行動を照合して、予定と実績に差がないかどうかを確認しておきましょう。各スケジュール項目に関して実際の内容を記載していきます。スケジュール通り出張が終了すれば、ほとんど手を加えずにこの項目を完了できます。
出張の概要と行動に関する項目には、事実だけを記載することもポイントです。事実と感想を分け、事実だけを簡潔に記載するようにしましょう。
出張の成果は数字を用いて具体的に記入する
出張の成果は、報告書項目のなかでも重要度が高い項目です。
そのため、成果については、出張に同行していない人でも初見ですぐに内容が理解できるように記載することが重要でしょう。報告書は、上司などだけでなく、同僚や同じプロジェクト参加メンバーなどで共有することもあります。出張成果については、そういった人達が次の業務に反映したり参考にしたりすることも多く、数字やデータまで記載して、具体的な状況をイメージしやすい形でまとめることを心がけましょう。
出張目的に沿って作成する
出張報告書は、出張の「目的」に沿って作成しないといけません。先ほどお伝えしたとおり、会社は出張した社員がどのような行動をとったかを確認したいわけではなく、どういった目的で出張し、どのような成果を得たか確認したいのです。そのため、目的を達成するためにどのような行動を取り、その結果どのような成果を得たのか記載します。一度の出張で目的を達成しない場合は、進捗状況を記載するとよいでしょう。
また、望んだ成果が得られない時もあるでしょうが、包み隠さず正直に報告をし、戦略の立て直しや次回の出張に活かすことが重要です。
出張から戻ったらすぐに作成する
出張から戻ると不在の間に溜まった業務や、出張先の顧客へのフォローだったり何かと忙しくなりますが、出張報告書の作成は後回しにせず、すぐにとりかからないといけません。いくらメモを取っていたからといっても、時間の経過とともに細かい部分は曖昧になってしまうものです。記憶が鮮明なうちに報告書の作成に取りかかることで、情報の抜け漏れを防ぎ、質の良い報告書を短時間で作成ができるのです。
また、迅速に情報共有することで、次のアクションをすぐに進めることができるため、優先して取り組みましょう。
全体を見直し、内容不足、読みやすさをチェック
最後に、書式全体の見直しを行います。誤字脱字がないかどうかは基本的なことですが、内容の不足や重複がないかのチェックも必要です。読み手のことを考え、読みやすい報告書になっているかどうかも見直します。適度な余白があるなどの見栄えもチェックする意識を持つことがポイントです。
出張報告書の効率的な管理方法は?
会社が出張作成書のフォーマットを用意しているケースもあるでしょう。 この場合にはフォーマットに必要事項を記入するだけですので、簡単に出張報告書が作成できます。 フォーマットがない場合には、出張報告書の作成にワードやエクセルを使うケースも多いでしょう。 しかし、一からワードやエクセルで作成するには時間がかかりすぎるため、業務に支障をきたすのが問題です。 さらに、作成した出張報告書の管理も難しいといえます。 そこで、出張報告書の効率的な管理方法を紹介しましょう。
出張報告書の作成・保存義務はなし!?
出張報告書は、あとで確認することもあるため、効率的に管理することも重要です。出張報告書は、法令で作成が義務付けられている文書ではありません。作成・保存をしていなくても違法にはならないのです。ですので、出張報告書の作成・保管ルールは、社内もしくは部内で規定し運用されている場合がほとんどでしょう。
ペーパーレス化の一環で出張報告書を廃止する企業も
出張報告書を紙で作成している企業もありますが、ペーパーレス化が進み、紙の書類を廃止する流れも進んでいます。効率化の第一歩として、印刷をやめてデータ管理をしたり、システムやクラウド上でやりとりをしたりする企業も多いでしょう。最近では、申請・報告機能が付帯した出張管理サービスも登場しているため、出張関連業務全体を効率化することも可能になっています。
出張の申請・報告・管理がスムーズに!出張管理サービスの最新情報
出張管理サービスは、BTMとも呼ばれ、昨今急速に普及しつつあります。BTMとはBusiness Travel Managementの略称で、米国で誕生し出張に関わるさまざまな業務を一元管理できるシステムのことです。
最近では日本企業の出張状況に合わせて開発されたサービスが登場し、出張の多い部署や、業務効率化、コスト削減を考えている企業に取り入れられています。
出張管理サービスは、新幹線や航空券の手配やホテルの宿泊予約などを一括で行うことができ、個別の立替や精算業務がなくなることが第一のメリットですが、最新のサービスでは、出張申請や成果報告機能まで付いたものもあります。出張にまつわる業務が一元管理でき、出張時の危機管理やコスト管理が可能なことも大きなメリットになるでしょう。
わかりやすい出張報告書を効率的に作成しよう
出張報告書は、出張者が業務内容を整理するために作成するだけでなく、上司や同僚などと成果について共有するという目的もあります。そのため、わかりやすく作成することが重要です。紹介した構成を踏まえ、その流れに沿って作成していくとよいでしょう。また、出張報告書作成業務の負荷を軽くして効率的に管理することも大切です。出張管理システムの導入なども視野に入れながら、効率面についても考慮しておきましょう。
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この記事を書いた人

エルクトラベル編集部
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出張手配専門旅行会社の株式会社エルク(エルクトラベル)のメディア編集部。
これまで1,500社以上の出張関連業務の効率化を支援してきた実績を活かし、出張者はもとより出張に関わる経理や総務などのバックオフィス部門にも役立つビジネス情報を発信しています。
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