GoToトラベルから除外された出張手配はコロナ禍の今どう変わるのか?

ビジネスを目的とした出張旅行が2020年11月6日(金)予約販売分よりGoToトラベルキャンペーンから除外となりました。
もともとGoToトラベルキャンペーン事業は新型コロナウイルスが蔓延し、委縮していく観光業ならびにその関連産業を支援する目的で2020年7月にスタートしたものです。
GoToトラベル事業開始時には人の動きが激減していたことから観光・ビジネスの別を問わず支援の対象としていましたが、人の動きが回復してきている中、企業において経費負担するべき出張手配は観光を主な目的としておらずGoToトラベル事業の支援対象から外れる流れとなりました。
出張手配かどうかの判断基準
2020年10月29日に発表された内容をGoToトラベルキャンペーンのホームページで見ると、出張手配がなぜ対象から外れたのかについて読み解くことが出来ます。
GoToトラベル対象商品であるかどうかは以下の4項目そして社会通念上の観点も含めて総合的に判断するものとしています。
- 観光を主たる目的としていること
- 感染症拡大防止の観点から問題がないこと
- 旅行商品に含まれる商品やサービスの価値が通常の宿泊料金の水準を超えないこと
- 旅行者自身が旅行期間中に購入又は利用するものであること
出張手配の場合は上記のうち1の項目、そして場合によっては2・3・4も該当しGoToトラベルの支援対象から除外となります。
出張は企業の業務の必要性において行われるもので出張旅費は経費として企業側が負担すべきものであり、企業側の経費軽減はGoToトラベルキャンペーンの目的とは異なるというのがGoToトラベル事務局の考え方です。
では予約の内容がビジネス目的の出張手配なのか観光旅行なのか、どのように判断するのかという点ですが、正直なところ旅行業者側としては識別しにくい面があります。
GoToトラベル事業Q&A集では以下の3つの項目を掲げています。
- 旅行・宿泊事業者各社のホームページなどにおいて、利用者及び法人に対しても、ビジネス目的での利用はできない旨を明確に掲示する
- 旅行業者において、「法人向け旅行商品(出張パック)」「法人カード決済」など、法人利用を前提とした旅行商品を割引販売しないようにする
- 法人の出張手配を目的とした予約サイトにおける予約を割引の適用外とする
これらの項目を通じてビジネス目的の出張手配であるかどうかを判断することになります。
領収書を企業名で切る場合は企業側が旅行費用を負担することが明らかなので支援の対象とは言えないでしょう。
会社の総務部の担当者等から宿泊手配依頼が入るような場合も法人利用であることが明らかでしょう。
また旅行者側としても出張手配と自覚している場合はGoToトラベルキャンペーンの利用を控えなければなりません。
GoToトラベルキャンペーンを利用する場合、ビジネス利用ではなく観光目的であるなんらかの理由があるということになります。
このタイミングで出張手配がGoToトラベル事業から対象外となった背景には事業予算の問題も考えられます。
より多くの旅行者に観光目的の旅行をしてもらうには今までのように何でもありの状況ではすぐに予算の底が見えてしまいます。
旅行者側もGoToトラベルキャンペーンの主旨を心に留めていただき、自らの旅行が主旨に沿わない場合には割引の利用を控えるようにするべきです。
仮に出張手配の旅行を観光目的と偽ってGoToトラベルキャンペーンを利用した場合ですが、不正受給が判明した場合には「給付金給付規定」に従い給付金の返還等を行うことが求められます。
出張手配の場合にはくれぐれもGoToトラベルキャンペーンを利用しないようにお願いいたします。
2020年11月6日から変更になったGoToトラベルキャンペーンの対象商品
徐々に変更点が出てきているGoToトラベルキャンペーン。
当初はOKだったものでも今では支援対象から外れている商品が色々あります。
例えばビジネス出張者に人気の高いQUOカード付き宿泊商品も今回の変更で対象外となっています。
換金性の高い商品
・金券類(QUOカード等のプリペイドカードやビール券・おこめ券・旅行券や店舗が独自に発行する商品券等)
・鉄道の普通乗車券・特急券(指定席券等を含む)・回数券・普通航空券(往復航空券や上位クラス利用料金を含む)等
※2020年11月6日(金)予約販売分より適用
講習目的など通常の宿泊料金を著しく超える商品
ヨガライセンス講習プラン、ダイビング免許付き宿泊プランなど
※2020年11月6日(金)予約販売分より適用
コンパニオンサービスなど接待を伴う内容
慰安旅行などでよくある宴会時などの接待サービスは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から除外となっています。
※2020年11月6日(金)0時以降に実施される接待等を伴うコンパニオンサービスを含む旅行分より適用
8泊以上の旅行
1回の旅行中にそれぞれ違うホテルに宿泊した場合であっても7泊分までの宿泊料金が支援の対象で、8泊目以降の宿泊料金は除外となります。
※11月17日(火)の予約販売分より適用
また修学旅行はGoToトラベルキャンペーンの支援対象ですが、引率する教員は出張となるため支援から除外され、もちろん教員分の地域共通クーポンも付きません。
出張と観光を組み合わせての旅行などGoToトラベル支援対象かどうか判断が難しい場合には事前にGoToトラベルキャンペーン事務局に問い合わせることも可能です。
電話とLINEで問い合わせを受け付けており、オペレーターによる問い合わせ対応は年中無休10:00~19:00、LINEのチャットボットを利用すると24時間いつでも問い合わせ出来ます。
GoToトラベル事務局問い合わせ先
ナビダイヤル |
0570-002-442 | 受付時間10:00~19:00 年中無休 |
IP電話等 | 03-6636-9457 | 受付時間10:00~19:00 年中無休 |
LINEアカウント | @goto_travel_line | 【チャットボット】 受付時間24時間 年中無休 【オペレーター】 受付時間10:00~19:00 年中無休 |
出張もコロナと共存する時代に
そもそもGoToトラベル事業は、ウィズコロナの時代における「新しい生活様式」に基づく旅行のあり方を普及・定着させるものです。
厚生労働省が専門家会議からの提言を受けて昨年6月に発表した「新しい生活様式」の実践例には身体的距離の確保やマスク着用、手洗いなど基本的な感染拡大防止等の他、働き方の新しいスタイルも提案されています。
働き方の新しいスタイル
- テレワークやローテーション勤務
- 時差通勤でゆったりと
- オフィスはひろびろと
- 会議はオンライン
- 対面での打ち合わせは換気とマスク
ビジネスの場においてテレワークやオンライン会議は徐々に浸透していましたが、コロナ禍となり瞬く間に多くの企業で導入・実践されました。
これにより働き方の見直しが進み、出張や転勤のあり方も変わってきつつある現状です。ウィズコロナの時代でビジネスするにはこの状況を受け入れ、一人ひとりが新しい生活様式を実践しながら仕事を進めるスタイルを取り入れなければなりません。
こういった状況ですがビジネス利用の出張がなくなるかといえばそんなことはなく、対面で会って話さなければならない場面や、実際にその場に出向き商品や状態を確認しなければならない場面は多々あります。
新しい生活様式をしっかりと守った旅行を心掛けることで自分自身を守り、それは家族や仕事仲間・取引相手を守ることにもつながります。
より簡潔になる出張手配システム
オンライン会議やリモートワークが普及しても出張はなくなりません。
販売した商品の修理に出向いたり、商品を買い付ける前に現地の生産状況の確認に出向いたり、新しい店舗の立地や現状の確認に行ったりと様々な場面で出張は必要です。
しかし無駄な出張は確実に減っていきます。
無駄なものは排除してシンプルに必要な分を必要なだけ行う。出張も含めてビジネス面全般で無駄排除は進んでいます。
出張手配においてはWEB上で簡単に依頼ができる業態が出現しています。
JTBが運営する「J's NAVI」、じゃらんが運営する「じゃらんコーポレートサービス」、経費システムを構築するBear Tailの運営する「Dr.Travel」など出張手配を専門としている旅行会社は数社ありますが、大きく分けてみると旅行会社が運営しているもの、システム会社が運営しているものの2つに分類されます。
旅行会社が運営しているものは当然ながら長年の実績があり旅行商品も充実しており出張手配の面でも安心して依頼できると言えるでしょう。
面白いのはシステム会社が運営している業態で、宿泊や交通機関の旅行予約だけでなく、出張手配にまつわる経費精算やスケジュールまで踏み込んで管理しているものもあり、会社での経理システムなども含めて運用すれば大変効率化できる内容です。
出張手配となると仮払金、立替金などの精算処理を出張者毎に行う経理担当者としては作業は膨大です。
これからの時代は出張者側の視点、経理側の視点双方から考え無駄を省いたシステム作りが必要となってきます。
いずれの会社もまずは資料を取り寄せて情報を集め、自社に最適な出張手配会社を見つけていくことになります。
海外出張の多い企業なら海外に強い手配会社も選択肢のひとつとなるでしょう。
出張者や経理担当者が使いやすいと思えるシステムはどの手配会社なのか、コストの面からも考えて選択していく必要があります。
※ちなみにこれらの出張手配会社で手配する商品は法人契約となり、2020年11月6日(金)よりGoToトラベルキャンペーンの対象からは除外されています。
GoToトラベルキャンペーン後に経済は復活するのか?
新型コロナウイルスがいつ終焉を迎えるのか?
これについては感染症専門家に聞いたとしても正確な答えは難しい状況です。
では旅行が完全に復活するのはいつなのか?
このたびのGoToトラベルキャンペーンにおいて旅行者は確実に増えました。
しかしあくまでも日本に在住している人が日本国内を旅行する国内旅行に限られています。
海外各国では再びロックダウンが始まり、入国制限はまだ続き、航空会社の稼働率も低いままです。
日本国内に関していえばGoToトラベルキャンペーンにより人の移動に関しての懸念は薄くなってきました。
マスクを着用し、手を清潔に保ち、人との距離を保っていれば感染しにくいということも分かり、逆に言えば人との接触の多い場所では感染しやすいということもニュースを通じて周知されました。
GoToトラベルキャンペーンの期限は2021年1月31日までの販売分、2021年3月15日までの利用分となっています。
寒い冬の時期を超えてなお重症感染者が少ないままなのかどうかまだ動向は分からなく、一人ひとりが感染対策を行う必要はまだ続きます。
日本における経済復興のひとつのポイントは東京オリンピック開催にあると考えることもできます。
GoToトラベルキャンペーンで人の移動への恐怖感が薄れた今、海外も同じように安心安全な旅行が一般的になれば東京オリンピック開催は現実に近づきます。
東京オリンピック開催が確実となれば航空便の往来も増え物流も増えます。
GoToトラベルキャンペーンを通じて日本で起こった変化が、東京オリンピック開催と共に世界規模で起こります。
ここまで来ると世界の人の動きは従来にほぼ戻ったと言えるでしょう。
そしてその時には世界のビジネスが大きく動く時であるとも予想されます。